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2010年05月 アーカイブ

ここにも行ってみて

~東京都中央区京橋~

毎年八月に一カ月だけ東京で展示される、青木繁の「海の幸」(重文)を、心待ちにしている人も多い。

久留米の石橋美術館や何かの催しで何度も見たはずの、この絵の額縁に気付いたのが、ブリヂストン美術館だった。

大きな鮫を担いで海辺を行く力強い裸の群像の横長の絵を見ていて、木彫りの額に息をのんだ。四隅は魚が向き合っている。

周りは鱗か波形か、九十年近く経た松材の縁は、少し欠けている。

静かな、ゆとりのある美術館だからこそ、額縁にまで気が付いたと思う。

学芸部の方の話しでは「定かではないのですが、『海の幸』の三年後に描かれた『わだつみのいろこの宮』は、額の代金が払えなくて、遺作展終了後に額装屋が引き上げてしまったそうで、今もってどんな額縁だったのか、わからないのだそうです」

ここにも行ってみて 2

足袋の底にゴムを貼った地下足袋から、車のタイヤへと発展したブリヂストンの創業者・故石橋正二郎氏の小学校の絵の先生が、坂本繁二郎。

青木繁と同輩でライバルだった坂本が、不遇のうちに夭折した同郷の画家の作品の散逸に心を痛め、青木の作品の収集を進言したのが、石橋氏の美術品収集の始まりとかで、フランス印象派を中心にと収集がひろがっていったそうだ。

美術館を訪ねるだけで倉敷に行きたいと思う大原美術館の開館が一九三〇年。

これには及ばないが、ブリヂストン美術館の開館は一九五二年。

財界の両雄が、利益を社会に還元するひとつに、美術館をつくり名品を公開するとは有難い。

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